少し先の話になりますが、労働保険(労災保険と雇用保険の総称)の年度更新の受付が6月1日から始まります。

労働保険の保険料は、原則として、1年度の間(4月~翌年3月)に労働者に支払うであろう賃金総額の見込額に労災、雇用保険の料率をかけて概算で算出します。
そして、前年度の賃金総額が確定した時点で保険料の概算と確定を精算して払うという方式になっています。
それを6月1日~7月10日の間に行うことになっています。

中小企業の中には、この事務が煩雑に感じるところもあるでしょう。

そういう場合は、社会保険労務士に年度更新の事務を委託する方法と、労働保険事務組合(以下「事務組合」と表記)に委託する方法があります。

今回は、後者について説明したいと思います。

事務組合に委託できるのは、以下の条件を満たす事業主です

  • 金融業、保険業、不動産業、小売業…常時使用する労働者数が50人以下
  • 卸売業、サービス業…常時使用する労働者数が100人以下
  • 上記以外の事業…常時使用する労働者数が300人以下

委託をする以上、事務組合に委託料を支払う必要はありますが、年度更新の時期が特に繁忙期になるような会社の場合は、特に便利ではないかと思います。

また、事務組合に委託をする場合、概算保険料がいくらであっても保険料の延納(分割納付)ができます。
これが大きなメリットになります。
事務組合に委託しない場合、概算保険料の延納をするためには以下の条件を満たしている必要があります。

継続事業の場合

  • 労災保険もしくは雇用保険のどちらかのみ成立…概算保険料が20万円以上
  • 労災保険、雇用保険の両方が成立…概算保険料が40万円以上

有期事業の場合

  • 概算保険料が75万円以上で、なおかつ事業の全期間が6か月を超えていること
    (事業の期間の条件は、事務組合に委託する場合も適用されます。)

なお、事務組合に委託する際でも、日雇労働者を使用し、雇用保険の印紙保険料を支払っている場合、印紙保険料の事務については事務組合には委託ができないので注意が必要です。

当事務所は、福岡県の事務組合に加入していますので、当事務所に労働保険の事務を委託される場合、事務組合のメリットを享受することができます。(福岡県、佐賀県、熊本県、大分県の事業主に限ります。)

また、事務組合は各都道府県にありますので、上記以外の都道府県の事業主の方は、各都道府県の事務組合を探してみるとよいと思います。

労働保険の事務が煩雑だと考えていらっしゃる事業主の皆様は、事務組合への委託をお考えになってはいかがでしょうか。