世間一般の感覚では「治癒」というと、病気やけがになったのがまた元の状態に回復した状態という意味になると思います。
ですが、障害の年金が関係する世界では、「治癒」というのは、違った意味合いを持ちます。
障害の年金の世界では「治癒」というのは、症状が固定してしまい、これ以上治療を続けても回復の見込みがない状況のことを指します。
そのため、症状が固定してしまうと、たとえ病気やケガ前の状況に回復しなくても、「治癒」した状態とみなされます。
社労士の扱う法律で、障害の年金が関係するのは、労災保険、国民年金、厚生年金です。
労災保険の場合、「障害(補償)年金」や「障害(補償)一時金」は治癒して初めて支給されます。
治癒していない場合は、治療のための「療養(補償)給付」に加え、所得補償として、「休業(補償)給付」や「傷病(補償)年金」が支給されます。
国民年金や厚生年金の場合は、少し違った考え方をします。
生活や労働に支障をきたしている場合でも、治癒しない限り年金が出ないとなると、生活に影響を及ぼします。
そのため、国民年金や厚生年金では、最初の診断を受けた日から1年6か月を経過したら、たとえ治療中であっても障害認定日とし、その時点での状況に応じて障害基礎年金や障害厚生年金が支給されます。
もちろん、初診日から1年6か月経過する前に症状が固定し、治癒の状態になったら、その日が障害認定日となります。
ということで、今回は公的保険の障害の年金について「治癒」という場合について書いてみました。